2007年にiPhone(アイフォーン)を投入して携帯電話市場を一変させたアップルは、その後グーグルのOSであるアンドロイドを使うサムスンや他の携帯電話機器メーカーに対し訴訟を世界規模で展開してきた。つまりカリフォルニア州サンノゼの連邦地裁で同日始まったサムスンとの訴訟の結果は、グーグルのアンドロイドはiPhoneのOSを不正にまねたものであるとのアップルの主張が、認められるのか否かの試金石となる可能性があるのだ。
具体的にはサムスンのアンドロイドを使った携帯電話がアップルの特許を侵害しているとの判決となれば、他の世界で起きている訴訟に影響しサムスンはもちろん世界中のアンドロイドを使う携帯電話メーカーに問題となりかねない。
逆にこの訴訟でアップルが敗訴すれば、現在スマホのOSとして世界一のアンドロイドの市場がさらに広がり続けることになろう。
特許問題が専門のサンタクララ大学法律大学院のブライアン・ラブ教授は「この訴訟は、実際の当事者のメーカー(サムスン)対アップルというより、本当にアップル対グーグルという感じだ」と話した。
「アップル‐グーグル戦争」は実際法廷以外にも広がっている。両社ともOSに書籍や音楽の新たなコンテンツを載せようとしているほか地図サービスなどの拡大を競っている。
この両者の戦いの法廷闘争部分はまずアップルが10年3月にやはりアンドロイド陣営の台湾の宏達国際電子(HTC)、11年4月にサムスンを訴えたことから始まった。アップル共同創業者の1人で昨年亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は自伝の中でアンドロイドをアップル製品からの「盗作」と形容した。
グーグル側はジョブズ氏の主張に反論、デザインを盗んだことを否定している。
ただ、アップルはグーグル本体に対しては訴訟を起こさず、その代わりにアンドロイドを使うメーカーに対して訴えを起こしている。この理由についてアップルは明らかにしていない。
特許専門の弁護士らは、携帯電話やタブレットを製造し、消費者に売る企業相手のほうが金銭的損害について論証しやすいと指摘する。
売上高の大半をオンライン広告から得ているグーグルは、アンドロイドのライセンスを提携先に無料で供与している。